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デジタル時代の新鋭!榎戸駿さんインタビュー
2016-06-23 19:09:14    作者:COMIDAY

企画/多魔  取材/多魔  編集/幕夏


榎戸 駿(えのきど しゅん)
作画MADの影響で業界に入った新鋭アニメーター。「夜桜」を綺麗に咲かせるため、中山竜さんと坂詰嵩仁さんと共に作画ファンから注目を受けた。あとに「夜のヤッターマン」でキーアニメーターを担当し、アクションからエフェクト、なんでもこなせる姿勢で作品を支えた。画面全体のリズムや効果の調整に理解があったようで、最近は「ハンドレッド」のアクション監督として活躍。








「作画MAD」に影響された世代


☆榎戸さんが業界に入ったきっかけは、作画MADだと聞いたんですけど、本当ですか?(笑)

A.本当です。小嶋慶祐くんの作ったアニメーターMAD(https://www.youtube.com/watch?v=5GWRHjlWung)を見て、画を動かしてる人がいるんだとようやく知りました。高校3年生の時です。アニメーターを志したきっかけですね。本格的に業界に入るのは後述します。


☆今中国でそうですけど、作画MAD故にアニメーターになる人が結構出てくるところですので「作画MAD世代」で呼んでいいと思いますけど、日本はやはり「作画MAD世代」に入るのは7、8年早いかなと思いますので、あなたの周りに、作画MADを観たことによってアニメーターになる人が多いですか?

A.どうなんでしょう…今現在見てる人は比較的多い環境ですが、それがきっかけで業界に入ってきたという人はそんなに聞いたことないかもしれません。実は多くいるんでしょうか…


☆「作画MAD世代」は、やはり出来が良く鑑賞性の高い「作画MAD」がかなりあって、多分最初は派手なアクションとかエフェクトとか、個性が強い作画とか演出とかに惹かれるのが普通ということで、それを真似したい衝動が抑えきれなかったというのが多いようですが、榎戸さんの場合は、どうでしょうか?

A.それはもうその通りですね。暴れるのが普通だと思い込んでアニメ描いてました。


☆作画の結果から分析することは、多分作画好きの人がみんなやったことあると思いますが、榎戸さんがやったことあったんでしょうか?分析した結果は、どれほど作画に役を立つのでしょうか?

A.僕の作画はほぼその分析で出来ていると言ってもいいと思います。
実写を見て描くということも、既存の作画の分析があったうえでようやく使えるものになるということがわかってきたので。


☆結局、当時どの方の作画スタイルが一番気に入ったのでしょうか?

A.節操が無いのでいろんなアニメーターの仕事に憧れてましたが、ここしばらくは中村豊さん、森久司さん、山下清悟さんのお仕事を見返してます。


☆今作画MADどう扱いますか?楽しく見てるだけですか、それとも時々参考とかインスピレーションの源として使ってますか?

A.参考にさせていただいてます。



デジタル作画をこなす新世代アニメーター


☆デジタル時代に入ってから、多分沓名さんや、ちもさんあたりからデジタルで「作画」する人が出てきて、ヤマさんあたりで、一緒にデジタルで商業アニメを作ることを実現したということで、つまり「鉄腕バーディー」の誕生です。多分ちもさんと一緒にお仕事する前に観たかと思いますけど、このデジタル作画の歴史で語らなければならない名作は、あなたに何か影響を与えたのでしょうか?

A.もちろん学生時代に観ましたので、少なからずショックは受けました。
明らかに新しい映像を作ろうと言う実験的な思考が垣間見えるというか、その姿勢に感銘を受けました。
今思うとこの辺りから作画の好みが少し歪んでいったような気がします。


☆デジタルでアニメ作画をする人が基本的にFlashかEasytoonかで始めるというか、逆にPSとかSAIとかでラフから描く人が、デジタル系ではなかったような気がしますが、どうでしょうか?

A.PhotoshopやSAIはアニメを描くにはやはり不向きだと思いますので。。坂詰嵩仁さんはFlashに触れる前はSAIでアニメを描いていたらしいですけどね。


☆はじめてデジタル作画に触れたのは、いつだったでしょうか?

A.タツノコに入ってからなので「夜桜四重奏」6話が最初です。
りょーちもさんや中山くんにレクチャーを受けながら作業してました。


☆もう二年半過ぎましたけど、改めて言いたかったのは、「ハナノウタ」がすごいです。この作品に通じて、作画ファンがげそ(いくお)さんや(斉藤)ケンゴさん、ゆーな(中山竜)さん、まゆげ(榎戸)さん、などなどの人に注目し始めたんです。作品を参加したきっかけはなんでしょうか?誘われた時に「デジタル作画だよ」って知ってたんでしょうか?

A.デジタル作画なのは知ってました。
夜桜の前に、NARUTOのOPを山下清悟さんがタツノコプロのデジタル作画の人たちと作ったんですが、それを見てタツノコに行きたくなったんです。中山君が参加していたことがとても羨ましかったんですよね…
なので彼にタツノコに入れてもらえるよう紹介してくれとお願いしました。


☆特に9話が「誰が来たのかわかんないけどとにかくすごい」っていう感じがしますね。ってあと吉原(達矢)さんのおかげで、担当パートがはっきりしたらまゆげさんがすごいってことがわかってきました。この9話について、ちもさんが「少人数で作ってた」っておっしゃったんですけど、お仕事するときにどのような思い出があったんでしょうか?

A.いろいろと暴れたくて仕方ない時期だったのでとにかく中山くんと坂詰さんと僕の三人で半パートやろう、ということで一人40カットずつくらいやりました。
テンションだけは高かったですけど、もういろいろとボロボロでしたね。その分勉強になりました。
りょーちもさん、ごめんなさい…という感じです。


☆9話のカット担当がはっきりしていた時点で、痺れるエフェクトと豊かな感情描写がもちろんですが、榎戸さんが描いた身体パーツのパース変化もうすうす気づきまして、最終話もかなりそうなったんですけど、そういうパースの変化(強いて言えば空間の変化でもあり)を活用して描いた感想とか、意識されていることとかについて少しお話して頂けませんか?

A.独特な絵に見えるのは多分ヘタだからじゃないでしょうか(笑)。パースにシビアに描いたりは苦手なので自ずとそうなるのかもしれません。
演出的に誇張するパースが生きるなぁと思う部分については、ヘタなりに意識はしています。


☆9話で描いた秋名さんの苦悶する顔のアオリが、一気にリアル寄りになってましたが、それが意識的に感情表現を強めた結果だったんでしょうか?

A.作監の砂川貴哉さんのお陰です。砂川さんありがとうございます。


☆「ツキニナク」3話、リラちゃんの下唇あたりの線がうまくて色気が感じられますね。

A.作監の今岡律之さんのお陰です。のりゆきさんありがとうございます。






☆もう一つ気づいたのは、カットごとの色指定とかに、個性的な色付けが多用されるようで、それが色指定あたりの人が決めたのか、それとも最初から演出さんと打ち合わせして「こうしたいよ」みたいのがあったのでしょうか?

A.独特な配色のカットについてはアブノーマル色という指定のみしてます。細かな指示は演出の吉原さんや色指定さんのおかげだと思います。


☆夜桜新シリーズ(OADも含めて)に通じて、多分「見て学ぶ」というのが多かったけど、それやってたからの収穫とか、同じくデジタル作画をこなす先輩から会得したことについて、少しお話聞いて頂けませんか?

A.夜桜をやっていた時の現場は監督のりょーちもさんを始め、すごい人達が沢山いましたので上がりを見せてもらえるだけで楽しかったですね。すごい現場にいることができたなと今は思います。
あの時現場にいた上手い人達は、上手いだけじゃなくて仕事を楽しもうとする人達が多かった気がするんです。
その姿勢というか考え方というか、その雰囲気に憧れました。


☆それ以来、吉原(達矢)監督に関わっている作品によく参加しますが、その中に一番印象深いのはやはり「ばらかもん」です。夜桜の時と違う感じの演技とエフェクトを描いて、特に工夫されたところがありますか?

A.結構手癖のまま描いたと思います…(笑)
「ばらかもん」はキャラを動かすのが楽しい作品だったんですが、気づけば水ばっかり描いていました…まじろさんの修正のめっちゃかわいくてのびのびした感じに引っ張られて、勢いで描いている感じは出ているかもしれません。


☆波紋の描き方は、一見すごくアニメ的になりましたけど、パターンに縛られず説得力がありますね。それは観察によっての結果でしょうか?それともほかのアニメーターさんから影響を受けたのでしょうか?

A.あの時はたしか西田達三さんを見たりしてたような。実写アニメ問わず参考に幾つか動画を見て、けど描くときは自分なりに描いてみて手癖に引っ張られていく、といういつもの描き方だったと思います。


☆「ハナノウタ」と「夜のヤッターマン」の間にて、いろんなお仕事に関わりましたが、わりと印象に残るお仕事ってありますか?

A.どうでしょう…その辺りの頃ちょこちょこやってた作品はそれぞれ毛色の違うタイトルだったので楽しみながらやっていたんですけど、ただやっぱり一本のシリーズをガッツリやりたいなあという欲求が溜まっていった時期だと思いますね。


☆その間作監の仕事も務めましたけど、絵のクオリティーをうまく管理するのに必要されたスキルがまったく違うので動くのが好きのアニメーターさんにとってややこしいお仕事になりがちですが、どうでしょうか?

A.絵がヘタなので向いてない!と単純に思いました。けどやり終わったあとは少し絵が上手くなったような気がしたので機会さえあれば挑戦したいと思ってます。


☆「ハナノウタ」で大活躍したあとに、「夜のヤッターマン」で中山さんと一緒にキーアニメーターを担当しました。オープンニングは完全にお二人さんのソロリレーになってましたね。肝心の作画パートを咲かせるほかにも、何か別のお仕事を担当しましたか?

A.作監作業も込みのカットがあったりしましたが概ね作画をがんばる!という仕事でした。
お正月返上で原画作業をずっとやっていたので、それが一番精神に堪えたかもしれません…


☆多分作画ファンたちもそうなんですけど、いつも「中山アクション×榎戸エフェクト」というイメージが強かったんですが、「夜のヤッターマン」では、本当に何でも描くんですね。(笑)

A.色々なエフェクトを描く機会は吉原さんが振ってくれるので増えていきました。エフェクト作画はどんなものでも楽しいです。観る人にも楽しんでもらえたら嬉しいですね。


☆1話ではやっぱり吉原監督がカットごとの演出・作画について細かく指示を書いたんですけど、レイアウト段階はもう榎戸さんらしい、アオリで広角的な空間になりましたが、それはセンスを発揮した結果ということでしょうか?

A.吉原さんのコンテは最初から求める絵も空間も明確なので、それに自分なりに応えた結果だったと思います。
吉原さんのコンテは気持ち広角で描かれていることが多いかもしれないですね。


☆「夜のヤッターマン」ではいろんな作画を挑戦したようです。たとえば、榎戸さんの以前のお仕事に一度も拝見したことないスケッチ風作画。どうでしょうか?やっぱり、ちょっと難しいですか?

A.実は「夜ヤッター」の前にも「SKET DANCE」という作品で一度描いています。
ただ今回は、通常あの手の作画は鉛筆でやるところを、Flashのブラシツールで描いて納品するという形で試してみました。最終的には撮影さんがいい感じにしてくれています。
思い切ってタッチで描ける分、普通の原画よりすんなり描けました。


☆榎戸さんが描いたエフェクトが、場合によって画面全体の「リズム」を調整するというような効果があると思いますが、12話のボス戦カットを挙げて少し説明して頂けませんか?

A.エフェクトは自然物を描くものですが、画面の演出効果としても活かしたいと思っていますので、リズムや収まりを調整するために意識して描いているカットは多々あると思います。
ドクロベエが岩を投げるカット等はエフェクトを重ねてリズムを作ってる例かもしれません。


☆「夜のヤッターマン」で自分が一番「やってて良かった」シーンとかありますか?

A.やっぱり12話のラストの戦いは、その時の色々なギリギリの部分が詰まってるので気に入っています。


☆榎戸さんの世代になったら、わりとデジタルをこなす人が多くなって、業界全体的に少ないですけど、前の世代よりだいぶ増えたような気がします。これからデジタル作画の発展について、あなたはどう思いますか?

A.いろんな会社が色々なソフトを導入しようと動いてる時期だと思いますが、個人的にはツールを紙の代わりに使うのか、それともデジタルだからこそ出来る作画を目指すのか、という考え方の違いがそのまま作画の違いになるんじゃないかなとは思ってます。


☆デジタル原画を描くときに使うソフトは何でしょうか?最近流行ってたCLIP STUDIO PAINTを試したことがありますか?

A.試しましたが全然使いこなせず挫折しました…まだしばらくはFlashで描きそうです。


☆もし機会がありましたら、またデジタルの人と一緒に何か作りましょうか?その時、中国デジタル系の人も一緒でいかがでしょうか(笑)?

A.中国の人とアニメを作ることには興味があります!デジタルで作るような企画があったら是非声をかけて欲しいです。



「作画」に対しての「理解」


☆この前に気づいたんですけど、1コマ・2コマ打ちが「絵をより順調に動ける」っていう意識を持っている人が結構いるようです。しかし情報量が少ない動きに1・2コマ打ちばかり使うと、時間の流れがあんまり感じられなくて、逆に「止まり感」が強くなってることもたまたまあります。あなたの場合は、アニメの中の「時間の流れ」についてどう認識しているのでしょうか?

A.カットごとにケース・バイ・ケースすぎてなんとも言いがたいですね。
ただ3コマや4コマの持つ「コマ落ち感」が、リアルさやその逆のケレン味を演出することは意識してます。


☆ロトスコをやるとき、多分「人の輪郭は光や視点などの変化より変化し続ける」ということを気づくと思います。つまり、「形」を固く描きすぎたら、動きも固くなりやすいでしょう。あなたは人が動く時の「形の不安定感」をどう扱いますか?

A.やわらかかったり、ゆがんでる絵は、やっぱり動きも柔らかく見えて好きですね。不安定なものは不安定に描きたいですし、生っぽいなと感じます。最近だと久貝典史さんがぐにゃぐにゃした絵を上手に使っていてよく見ています。


☆同じような質問ですが、実際人が動いた時に、自分の動きにすべて意識して完璧な軌道を取っているではなく、「余計な動き」がかなり入ってると思いますが、あなたはこういう「余計な動き」を意識して描いたことがありますか?普段はこういう動きに対して、どう「処理」するのでしょうか?

A.余計な動きやノイズは全原画じゃないと描けないんですよね。そういう動きも描きたいんですけど。あんまり関係ないかもですけどヘタな原画の入れ方や中割のガタりがアジになってたりするとおお、となります。


☆今よく見られる演技は、一番作画ファンに受けられるのは、動きを誇張したり、テンポよくちょっとコミカル的な演技と、重さや無意識な動きなどを強調するリアルな動きだと思いますが、違うタイプの演技に対して、作品全体から見るではなく、アニメーションから見るとあなたはどう思いますか?

A.上手いなぁという憧れの目で見ます。気分によって上手いだけだなぁと思う時もあります。


☆デジタルの人の中に、わりと「ハイスピード作画」が得意な人が多かったような気がします。デザインから言うと意識的にメタモルフォーゼが多くて、動きから言うと急に動いたり止まったり、瞬間的な爆発力が感じられる作画が多かったです。そういった表現をする時に特に注意すべきもしくは失敗しやすい点などありますか?

A.躊躇なく枚数を描くのが得意なツールだからですかね。
枚数が多いとごちゃごちゃと速いだけになりがちだなぁというのは自分の作画を鑑みて思うところです。


☆「作画」って「考えるのは難しいけど比較的に描きやすい」タイプと「考えるのはそんなに難しくないけど描くのが大変」みたいのがいろいろあったと思いますが、ファンとしてはともかく、アニメーターとしてはそれをちゃんと認識しなければいけないでしょうか?

A.描くことになれば嫌でも直面すると思うので、それを認識するべきはコンテ演出の人なんじゃないでしょうか。


☆ちなみに、デジタル出身のアニメーターさんがわりと画面動やサブリミナルなどが、作画にどのような影響を与えるのかについて理解が深いようです。こういう「撮影」(強いて言えば演出でもあると思うが)が作画に対してどれほど重要なのかを、少し簡単にお話して頂けませんか?

A.アニメは映像ですので最終的には撮影さんが画面の完成度を決めている印象です。
実際に塗られる色をなるべく知っておくことも同様に大事ですよね。色味で動きの見え方も変わるので。
デジタルで描く人はプレビューの映像を見ながら描くのでそこに意識が向きやすいというのはあるかもしれません。


☆実用性が高いお話だと思うけど、「ブレ線」や「オバケ」などの使い分けとか、使うときに何か気をつけるべきところがあったとかについて、少しお話して頂けませんか?

A.作風に合わせるように気をつけてるくらいですかね。色トレスにするのか、実線のタッチブレにするのか、コミカルなのか、実写的なブラーを表現するのか。どういう役割のオバケなのかで描き方を選んだりするのが楽しいです。


☆「作画」がどうだこうだって知ったとしても、実際書かないと理解できないとか、うまくまとめられない部分があると思いますが、より「作画」を知るためにやっぱり楽しい作画実験を始めるのが一番でしょうかね?

A.描いてわかることはいっぱいあると思うので、いろんな人に気軽にアニメを描いてみてもらいたいですね。音楽と同じように観るだけで楽しい、演ってみても楽しいのが「作画」だといいなと思います。






最後に


☆これから中山さんとコンビ組んで(笑)、新しく挑戦したいことについて、少しお聞きして頂けませんか?

A.それぞれ演出と作画という形で組めたりしたら面白そうだなぁと思いますね。
まずはまたお互いメインで関われる作品があるといいなという感じです。


☆アニメーターの力を身に付けるには、何が必要でしょうか?

A.好きなアニメーターを真似するのが一番です。真似しながら考え続けることです。
僕も力が欲しいので真似し続けてます。


☆最後に作画ファンのみんなさんに一言お願いいたします。

A.今後ともよろしくお願いします。


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